特集

【ひなたの街のトップランナー Vol.1】
ウガンダ帰りの宮崎・三股町役場職員の挑戦! 佐々木義和さん

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 ひなた宮崎経済新聞では、県内外で活躍する宮崎人にスポットを当て、その活動を追いかける特集企画「ひなたの街のトップランナー」を不定期更新していきます。

 記念すべき第1回目に登場いただくのは、現在三股町役場に勤務する佐々木義和さん(28)です。佐々木さんは公務員ではありますが、実は昨年まで宮崎から約11300km離れたウガンダという国で青年海外協力隊として活動していました。そんな佐々木さんが、ウガンダで経験してきたこととは何だったのか。そして次のステージとして、宮崎の地でどのようなチャレンジを考えているのか。お話を伺いました。

「行くなら、今」役場からウガンダへ

 1989(平成元)年、宮崎県の都城市に生まれた佐々木さんは、宮崎県立都城泉ヶ丘高校を卒業後、教員を目指して宮崎大学に進学。しかし教壇に立つ道には進まず、新卒で三股町役場に勤務することになります。

 「教員の夢を諦めて入った役場は、初めて社会人としてやっていく場所としてはもちろん新鮮でした。でも、そのうち『もっと違う世界が見てみたい』『もっと自分を成長させたい』と思い始めました」と佐々木さんは話します。

 そこで選択肢として上がったのが、青年海外協力隊への応募でした。元々教員を目指していた学生時代から、学校に通うことができないアフリカの子どもたちのドキュメンタリーを見たことがあり「いつか教育環境の整っていない国のために、何かしらの支援をしてみたい」と思っていたという佐々木さん。入って間もない職場を休職すること、まったく知らないアフリカという場所に行くことなど、不安はあったそうですが、「行くなら今だ」という思いが背中を押したと言います。

ウガンダでの気づきと僕らにできること

 佐々木さんがウガンダへと入ったのは2015年9月のこと。それから2017年9月までの2年間、一度も日本には帰国せずに、ウガンダでの活動に専念していました。

 現地に行って佐々木さんが気づいたのは、日本と異なり様々な“基盤”が整っていないということでした。

 「家庭の収入源といった『生活の基盤』、健康に暮らすための『衛生環境の基盤』だけではありません。例えば村の井戸の管理システムをつくるためにも村民同士の『コミュニティの基盤』も不可欠です。そうした基盤を、できることから少しずつ整えて行くのが僕らの役割でした」(佐々木さん)

 ウガンダでの滞在期間中は、簡単に作ることができる手洗い器を使い小学校で衛生教育をしたり、養鶏やキノコ栽培など収入源となるようなビジネスのアイディアを村民たちと考えたり、時には現地の子どもたちとスポーツで汗を流したり、奔走する日々が続きました。

 「村に入り込んで活動していたからこそ、僕らが『これをやろう』『あれをやってほしい』と単に押し付けても、それはまったく意味がないことにも気づきました。どんなにいいアイディアでも、村の人たちが『それ、いいね!』と思ってくれないと続かないし、その土地に根付かない。僕ら青年海外協力隊も、村の人たちの信頼関係が前提にあるからこそ、活動できていたのだと思います」(同)

「貧しさは不幸ではない」

 更に、2年間の活動を通して佐々木さんが痛感したのが「貧しさは不幸ではない」ということでした。

 「僕はウガンダに行く前まで、『現地の人々は貧しい暮らしの中、きっと幸せを感じられずに暮らしているんだ』と思い込んでいました。でも、決してそうではないんです。大人たちの働く姿や子どもたちの笑顔の中には、そこにある生活環境の中でも十分に幸せを感じて暮らしているという現実が見えました。僕らができるのは、彼らを不幸な生活から脱出させることではなく、より快適な暮らしをしてもらうためにはどんなアイディアがあるのかをシェアすることだったんです」(同)

 未知の場所での新たな体験の数々と、目から鱗がおちるような価値観の発見をウガンダで得た佐々木さんは、帰国後、三股町の役場そばにある図書館で自身が現地で撮り溜めた写真の展示会も開催しました。ウガンダでの気づきを何かしらの形で発信したいと考え、会場には150点もの写真を掲示。自ら執筆した解説文も添えました。

次なる挑戦「みまたんみらいナビ」

 そして次に佐々木さんが挑戦するのが、宮崎の中高生に向けたトークイベント&ワークショップ企画の「みまたんみらいナビ」です。役場の職員としてではなく、佐々木さんが一個人としてスタートさせたこの企画は、佐々木さんが帰国後に数々の宮崎のキーパーソンと出会ったことで生まれたものです。

 「ウガンダでは僕の知らない大きな世界を見ることができました。そして帰国後、その体験をなんとかして活かしてみたくて、宮崎で活躍する大人たちに積極的にコンタクトを取って、お一人おひとりにお話を聞きに行ったんです。すると、僕が知らなかっただけで、宮崎にもかっこいい生き方や働き方をしている大人たちはたくさんいました。僕はウガンダで新しい発見をしましたが、もっと若い時にそういう新鮮な体験をしたり、素敵な大人たちに会っていれば、違う未来を歩んでいたかもしれません。宮崎の中高生たちに、そういう機会をつくりたいと思い、企画を立ち上げました」(同)

 佐々木さんは現在、この企画の実現を目指しクラウドファンディング「FAAVO」でプロジェクトをスタート。実現に向けた資金を募集しています。

 「僕の思いに共感していただける人がいれば、ぜひご支援をお願いしたいです。子どもたちの未来の選択肢を『みまたんみらいナビ』から必ず増やしていきます」と意気込みます。

 佐々木さんのプロジェクトページは下記URLから。三股町役場職員の挑戦を、ぜひ見届けてください!

ウガンダ帰りの役場職員が三股町で中高生の未来を応援する講座を開催したい! - FAAVO宮崎
https://faavo.jp/miyazaki/project/2593

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