宮崎市の巨田神社(佐土原町上田島、TEL 0985-74-1528)で11月11日、秋祭りが開催され、神楽が奉納される。
巨田神楽は、巨田神社の氏子が受け継いできた神楽で、神楽面や大太鼓などの紀年銘によると、慶長年間(1600年ごろ)から続くとされる。和紙の切り紙飾りを注連縄(しめなわ)に飾り、注連縄1本に4本の長い木綿を引いてつるすといった特徴があり、湾曲した太鼓の桴(ばち)や竪笛(たてぶえ)を使う。舞も早いリズムと激しい動きが特徴。夜神楽と違い、朝から夕方にかけて行うため、年齢層問わず多くの観客が集う。
舞い手が多かった頃は、早朝から夜中にかけて33番の舞全てを奉納していたが、第二次世界大戦中から舞い手が減り、1955(昭和30)年ごろには一時10番前後しか奉納できなかったという。1971(昭和46)年には、伝統を受け継ぐことを目的に「巨田神楽保存会」を発足。1976(昭和51)年から小・中学生への指導を始めたことで舞い手が増え、奉納できる舞の数も増えた。
現在は当時の小・中学生が指導者の立場に立つ。神社の前の広場に建つ佐土原町観光民芸館が神楽の練習その他に使われており、4月からは毎週金曜日に稽古を実施。指導者の中心的存在である神楽保存会の山内修さんは「唯一の神楽の伝承者が戦争から生還されたが、もしその方が帰って来ていなかったら、今の保存会も無かった。運良く受け継がれた巨田神楽を次の世代に継承していくことが私の役目。子どもたちと一緒に頑張っていきたい」と話す。
今年は20番前後の舞を奉納。最大の見せ場は綱荒神(つなこうじん)、通称「蛇切(じゃき)り」の舞。オロチに見立てた藁の綱を鬼の面を付けた舞い手が真剣で切るさまは迫力があり、切れた瞬間には毎回拍手喝采が上がる。
舞い手の県立佐土原高2年の宮田武典さん(17)は「他の神社で舞ったことはあるが、巨田神社で蛇切りを舞うのは今回が初めて。巨田神楽の原点の巨田神社で蛇切りを舞えることはとてもうれしく、一番の見せ場を任されることを誇りに思うので、全力で頑張りたい」と意気込みを語る。
当日は出店や抽選会、振る舞い、せんぐまきも行う。
開催時間は9時~15時ごろ。