児湯郡高鍋町に事業所を置くITコンサル、システム開発企業「エイムネクスト」(東京都港区)が現在、かつて海軍中将だった小沢治三郎の生家を買い取り、一棟貸しのゲストハウスとして改修を行っている。
年代物の家具が置かれたリビングとダイニング。右奥は簡易キッチン
1886(明治19)年、同町に生まれた小沢治三郎は、東京の海軍大学校を卒業。日本海軍の軍人となり、「アウトレンジ戦法」などで敵機動部隊に挑んだ。最終階級は海軍中将で、最後の連合艦隊司令長官を務めた。
同町にある生家は長く空き家となっており、「エイムネクスト」が遺族から土地建物を買い取った。同社は2018(平成30)年、高鍋町に事業所を設置し、同町のスマートタウン化にも取り組んでいる。清威人社長は「ご遺族の方々だけでなく高鍋町の多方面の納得が必要だと思っていたが、私の祖父が高鍋東中の初代校長を務めていたこともあり、縁あって物件を買い取らせていただくことになった」と話す。
寝具や避難標識等の設置はこれからで、営業開始は今春を見込む。寝室は2階に2部屋を用意。1階には簡易キッチンとダイニング、年代物の家具を置いたリビングのほか、シャワーなどの設備は使いやすい最新式のものを採用しつつも、趣深さを重視したヒノキの風呂桶を組み合わせた風呂場などを設置。清社長は「寝具は4人分まで用意する予定だが、寝袋など持参すればその倍の人数は十分に泊まれる」と話す。
宿泊客グループが気兼ねなく過ごせるようスタッフは常駐しないが、同社の本業であるセンサーを使った様々な仕組みを導入する。地元の観光協会や和菓子店、高鍋出身で日本初の孤児院を設立した社会福祉事業の先駆者「石井十次」の友愛社が運営する保育園など、地元の団体や施設と連携する。
清社長は「当社は高鍋町をスマートタウンの分野で世界最先端の街にすべく、そのためのインフラ構築に携わっており、いずれは世界中から注目される街になると思う。海外からの観光客が足を運んだ際、何かしらいわれのある古民家に宿泊したいという需要に応えたい」と話す。
利用料金などは未定。