野菜の通販やデリバリーサービスを手掛ける「ベジオベジコ」(綾町北俣2)が1月12日、農業法人「VEGERY FARM(ベジリーファーム)」(住所同)を設立した。同町に農地を借り野菜の自社栽培に取り組む。
宮崎を中心とした九州産オーガニック野菜の通販会社として設立したベジオベジコ。野菜と果物を組み合わせたスムージーセットを販売したところ、首都圏で人気に。昨年1月には東京・根津に実店舗の青果店もオープンした。
新たに設立した農業法人「VEGERY FARM」では、地域の耕作放棄地を借用し野菜の自社栽培を行う。収穫した野菜は同社の通販サイト「VEGERY」で販売。生産から販売まで一貫して行うことで、価格の最適化や配送までの日数を短縮できるメリットがあるという。
代表の田村健登さんは「農家からの買い取りだけでは生産量が安定せず、需要と供給が合致しないことも多かった。これまでの消費データを生かし、欲しい野菜を欲しい分だけ生産することでフードロス対策にもつなげたい」と話す。
次世代の生産者を育てる狙いもあるといい、田村さんは「ベテランの生産者を指導者として雇い、若手農家とともに生産に取り組むことでノウハウや技術の継承を図りたい」と意気込む。現在は綾町と日南市に農地を借り、生産を始めている。
同法人では今後3年間で、VEGERYで販売する野菜の3割を自社農園でまかなう予定という。借用農地も2年後には現在の4倍に拡大させる予定。田村さんは「担い手不足や生産量・価格の不安定さなど、農業には課題が多い。売り先を持った農業法人であることを強みに、農業の現状を少しでも改善していきたい」と話す。