枻(えい)出版社(東京都世田谷区)が12月、宮崎県の食や人、暮らし方などを特集したムック本「宮崎本」を刊行した。
地元で愛されるコアな飲食店や雑貨店、話題のコーヒーショップのほか、神話や移住者の暮らし紹介など、多彩な本県の魅力を紹介している
中心となって企画したのは、宮崎市佐土原町出身で、アメリカ西海岸の建築様式を随所に取り入れた住宅を手掛ける同社建築デザインチーム「カリフォルニア工務店」クリエーティブ・ディレクターの岩切剣一郎さん。
自身もサーフィンを楽しむ岩切さんは、折に触れ会社の同僚や知人に波の良さなどサーフィンスポットとしても魅力的な宮崎県を紹介しているが、帰ってきた知人らは、「食べ物もおいしいし、人も温かい。宮崎に住みたい」と口をそろえて評価。そこで、「そんな地元の良さを、地元の人にも観光客にももっと気づいてほしい」と「宮崎本」の制作を提案した。販売の見込みや制作資金などの課題もあったが、岩切さんは足しげく県内企業を回って資金協力を仰ぎ、岩切さんの思いに共感した企業から協力を得て出版にこぎ着けた。
同社は、エリア限定のローカル地域本「街ラブ本」シリーズを発行しており、これまで「世田谷本」や「吉祥寺本」など東京の人気エリアをはじめ、「姫路本」「札幌本」「宇都宮本」など全国約50カ所の地域本を作成してきた。「宮崎本」もラインアップに加わる形で刊行することになった。
同書には、地元住民お薦めの飲食店や神話などの歴史紹介、雑貨屋家具、住宅など宮崎県での生活に関わる情報を掲載する。建築デザイナーでもある岩切さんが手掛けた、カリフォルニアスタイルの店舗「ビーチバーガーハウス」(宮崎市青島)や住宅の話題も盛り込む。現在、販路拡大のためのクラウドファンディングも展開している。
岩切さんは「穏やかな気候、温かい人柄、食べ物のおいしさなど、宮崎の魅力をもっと県外の人に知ってほしい。将来的には、延岡から串間まで、海岸沿いならではの立地を生かした街づくりを行い、コーストラインで宮崎全体をブランディングしていきたい」と話す。
価格は999円。県内の書店で販売している。