宮崎大学農学部森林緑地環境科学科のきのこ学研究室「ピルツラボ」(宮崎市学園木花台西1)が現在、県内のキノコ生産者を訪問して制作した動画をユーチューブチャンネルで公開している。
動画を公開しているプログラムは「ピルツラボダイアリー」。同研究室は、宮崎大学農学部森林緑地環境科学科に昨年4月、発足したばかり。キノコ学研究室がある大学は、九州の中でも同大学だけになる。
「多くの人にキノコの魅力を知ってもらうとともに、宮崎県のキノコ生産者を紹介したい」と、今年4月にスタートした同プログラム。プログラムに参画する小堀光輝さんは「私は研究室の所属ではないが、普段森林経済学を専攻しており、キノコ好きということもあって、今回の動画制作プログラムに参加することにした。キノコはSDGsに通じるところが多く、研究のしがいがある」と活動に参加している。
第1弾では、高原町の「田中椎茸(しいたけ)~茸ちゃん家」を取材。同社はサイズが大きめの原木シイタケを生産しており、低温乾燥の加工品なども作る。映像には、動画制作に関わった学生も登場し、同社でシイタケ栽培の様子を見学したり、シイタケ料理を調理したりする様子を収録する。
映像制作に先立ち、学内の図書館カフェでは原木シイタケにまつわるアンケート調査を実施。シイタケを使った弁当とパスタの2種類を約2週間かけて販売し、食後にアンケートを取ったところ、香りの強い原木シイタケより菌床栽培のシイタケの方がおいしいという回答が多かったという。学生の杉本拓生さんは「若い世代は菌生しか食べたことがなく、原木との違いを知らない。年齢別で結果は変わり、上の世代になるほど原木シイタケを好む傾向がある」と話す。
宮崎県出身で県内のキノコ業者と協力し「食べるきのこ」の研究を行っている原田栄津子助教は「消費量が増えなければ価格は上がらない。そのためにも、生産者側も消費者の嗜好性を知ることは重要だと思う。そうした消費者の目線を、学生の立場から生産者に伝える機会も増やしたい」と話す。
第2弾の映像は新型コロナウイルス感染症の流行で生産者の所へ訪問がままならず、公開日は未定。今後は、研究を重ねている青島に自生する光るキノコ「エナシラッシタケ」を、宮崎市内の会場で展示を予定する。また、10月には「宮崎県環境森林部」の協力で「宮崎県立博物館」で学生主体の宮崎初の「きのこ大祭」の開催を予定。展示だけでなく、屋外で県内の生産者の商品やキノコを使うスイーツなどの販売を計画している。
研究室に所属する八木拡さんは「若い世代にキノコの魅力を伝えたい。今後もツイッターやフェイスブックでも発信していく」と意気込む。