宮崎市中心市街地に位置する繁華街「ニシタチ」の活気を取り戻そうと、ニシタチまちづくり協同組合や地元の有志、宮崎市がクラウドファンディングプロジェクトに挑戦している。
「キャンプファイヤー」でのクラウドファンディングの返礼品として用意した、ニシタチの老舗のロゴを多数配置したオリジナルのTシャツと手拭い
ニシタチは約1200店の飲食店が連なる県内最大規模の繁華街。2008(平成20)年からは、ちょうちんを街のシンボルとしてニシタチを盛り上げようと、ニシタチまちづくり協同組合を中心に通りにちょうちんを設置したり、「提灯祭り」を開催したりと活動を続けてきた。
新型コロナウイルスの影響はニシタチにも広がり、150店以上が廃業を決めた。ニシタチまちづくり協同組合理事長の齊藤友亮さんは「一時は日頃賑(にぎ)やかな通りもゴーストタウンと化した。こんなことは初めてではないだろうか。私の耳にも廃業や休業を決める店の声が入り、いたたまれない気持ちでいっぱいだった」と話す。
こうした状況を受け、街に再び活気を取り戻したいと同組合を中心に「おかえりニシタチプロジェクト」を始めた。すでに宮崎県出身の漫画家・東村アキコさんとコラボレーションしたクラウドファンディングなどを行っている。
6月24日に新たに立ち上がったのは、同組合やニシタチに思い入れのある有志が立ち上げたプロジェクト。クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で始めた同プロジェクトは、今年の夏に西橘通をカラフルな2400個のちょうちんで埋め尽くそうというもの。齊藤さんは「今年は夏祭り『ニシタチ夜市』の実施を見送ることになり、ちょうちんの点灯式も開催が困難となったが、今年の夏もちょうちんでお客さまをもてなしたい」と話す。返礼品には、1万円の支援でちょうちんの短冊に名前もしくは好きな言葉を入れることができるプランのほか、ニシタチの老舗のロゴを多数配置したオリジナルのTシャツ、手拭いも用意する。
プロジェクト発案者の一人である「丸万焼鳥 本店」店主の前田龍好さんも、「例年、西橘通の夏を彩るカラフルなちょうちんは、街を華やかに照らし、その風景は圧巻のひと言。今年も美しいちょうちんで、ニシタチに日頃から足を運ぶ方はもちろん、県外に出て春に帰ってこられなかった方も出迎えたい。支援ももちろんうれしいが、プロジェクトの拡散も歓迎」と呼び掛ける。
ほかにも、全ての寄付がふるさと納税の対象となるガバメントクラウドファンディング「ふるさとチョイス」では、今年11月から翌年2月に点灯するちょうちんの設置費用に充てる支援プロジェクトを実施している。宮崎市外在住者には、ちょうちんの短冊に名前かメッセージを入れることができるプランか、「みやざき完熟マンゴー」を受け取れるプランも用意する。宮崎市企画財政部企画政策課の崎原秀利さんは「『みんなが下を向いているから、ちょうちんを見て少しでも上を向いてほしい』という思いを込めた。ふるさと納税も活用できるので、ぜひ支援してほしい」と話す。
募集期間は、「キャンプファイヤー」のプロジェクトが7月20日、「ふるさとチョイス」のプロジェクトが6月30日まで。