今年の「くじらのぼり」掲揚が4月26日、佐土原総合文化センター(佐土原町下田島)通称「くじら館」ではじまった。
江戸時代に「くじらのように大きく、力強く育ってほしい」という母の願いを込めてつくられた「くじらようかん」
佐土原町商工会青年部(以下青年部)が、2004(平成16)年4月から実施している。20頭の「くじらのぼり」を青年部が切り出した4本の竹に掲げる。
「くじらのぼり」は、地元まちおこしグループ「佐土原くじら会」が発案し、佐土原高校産業デザイン科教諭がデザイン。2年の歳月をかけて試行錯誤し1996(平成8)年に完成した。くじら型こいのぼりは全国的にも珍しく、製造販売を行っているのは同町の「ピノキオエンタープライズ」のみという。
同町には捕鯨が盛んだった歴史はなく、くじらをシンボルとする由来となったのは江戸時代の献上菓子「くじらようかん」。佐土原藩第6代藩主、島津惟久(ただひさ)が幼くして父を亡くし、家督を巡っての争いが起きたため、我が子の身を案じた母の松寿院が「くじらのように大きく、力強く育ってほしい」との願いを込めて作らせたと伝わる。後世、惟久が名君と謳(うた)われたことから「吉兆のシンボル」「縁起物」ともされている。
青年部部長の堀口正樹さんは「コロナウイルス蔓延の影響で掲揚中止も検討はしたが、こんな時だからこそ現在の困難な状況にも負けずにがんばってほしいという意味を込めて、本年度も掲揚をさせていただく」と笑顔で話す。
5月6日まで。