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宮崎の駄菓子店「むらこそ」、66年の歴史に幕 新型コロナウイルスで閉店決意

駄菓子店「むらこそ」の村社フサ子さん(写真右下)と常連の子どもたち

駄菓子店「むらこそ」の村社フサ子さん(写真右下)と常連の子どもたち

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 駄菓子店「むらこそ」(宮崎市西高松町3)が4月25日、66年の歴史に幕を下ろした。

所狭しと駄菓子が並ぶかつての店内の様子と村社さん

 宮崎市立小戸小学校の南裏通りに、1954(昭和29)年「村社文具店」として開店した。後に学校に売店が設置されたことで文具の売れ行きが落ち、生活の手段を救ったのが、店の一角に置いた駄菓子だった。店主の村社フサ子さんは1972(昭和47)年に夫を亡くした後、一人で店を切り盛りし、2人の子どもを育てた。

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 2012(平成24)年、息子夫婦と同居のため自宅兼店舗を解体。店を設けるか迷う中、地域住民の再開を望む声に押され、同年5月に「駄菓子屋むらこそ」として新装開店した。

 12畳の店内には、レトロな引き戸棚、アイスボックスを置き、菓子ケースにはアメ、ガム、チョコレートのほか粉ジュース、はちみつ梅など、30円前後の駄菓子を販売。壁には風船ボール、大型写真を飾り、ブロマイドやカードを下げて子どもたちを迎えた。店内は子どもたちで混雑することも多く、子どもが長居しすぎないよう「30分いる人は、出ていって下さい」と書いたカードも置いたほどだった。

 店の一番人気は、村社さんが作る即席の「ペペロンチーノ」。2年前、タレントの紗栄子さんが日本テレビの番組で「日向学院時代に来た、駄菓子屋さんに行きたい」と同店を訪れ、ペペロンチーノを食べた場面も放送された。

 近所に住む20代男性は、「初めてのおつかいで『これ10円何個で買える?』と村社さんに聞き、買い物の仕方を覚えた。中学生の時には道路で遊んでいたら、村社さんに『危ないよ』と叱られたことを思い出す」と振り返った。同店に通っていた高校2年生の女子学生も「ほかに誰もお客さんがいないと、村社さんがビー玉で遊んでくれて楽しかった」と思い出を話した。

 村社さんは、「新型コロナウィルス対策のため店を休み、様子をうかがっていた。終息のめどがたたず、今年90歳になり、体もきついので閉店を決意した。今後は都農町にいる息子の家庭菜園の手伝いをしたい。皆さまに最後まで良くしていただき、ありがたかった」と話した。