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宮崎在住の高山環さんが「夏のピルグリム」出版 宮崎を舞台に

「中高生、中高生を持つ親など誰でも共感できる物語になっている。楽しみながら笑って泣けるはず」と話す小説家・高山環さん

「中高生、中高生を持つ親など誰でも共感できる物語になっている。楽しみながら笑って泣けるはず」と話す小説家・高山環さん

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 宮崎県在住の小説家・高山環(かん)さんの小説で、「第12回ポプラ社小説新人賞」で奨励賞を受賞した「夏のピルグリム」(ポプラ社)が7月18日に発売された。

「どの世界でも苦しいことはあるが、一歩踏み出すことで景色が変わる」というメッセージを込めた「夏のピルグリム」

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 東京都出身の高山さんは、小学生時代から文章を書くのを得意としてきたという。「中学生の頃から実際に小説を書き始め、『いつかは小説家になりたい』と考えていた」と話す高山さん。大学卒業後は外資系のIT企業に就職。同社の責任者として2005(平成17)年、転勤で宮崎に移住。2016(平成28)年、大きな交通事故に遭い生死をさまよったことから、「一度きりの人生だから」と退職し、小説家になることを決心したという。

 25作目となる同作は、学校にも家にも居場所がない夏子が、妹の「推し」だったアイドルが活動を休止したことをきっかけに、そのアイドルに会いに行くストーリー。同作品を描いたきっかけについて、高山さんは「中学校に入学した娘が新しい環境で悩んでいる姿を見て、何か力になりたいと中学生を主人公にした小説を書いた」と話す。「作品の中には宮崎の風景が描かれているのも特徴。どこが描かれているかを想像しながら物語を楽しんでほしい」とも。

 ポプラ社小説新人賞事務局は「生き生きとした登場人物たちの造詣の巧みさや、終盤に描かれる夏子の成長は読み手の感情に強く訴えかけてくるものがあり、受賞につながった」と講評する。

 高山さんは「この作品は傷ついた子どもが旅を通して回復していく物語だが、親や環境が悪いという結論にはしたくなかった。全てが平等で清潔な世界などは存在せず、誰もが持って生まれたもので、何とかしていかなくてはいけない。誰かのせいにするのではなく、他人と助け合いながら自分の人生を切り開いていく夏子の姿を見て、人生を照らす一筋の光を感じてもらえれば」と呼びかける。

 今後については、「宮崎への恩返しという気持ちを込めて、宮崎をテーマにした小説を書きたい」と話す。

 価格は1,870円。全国の書店で扱う。

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