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宮崎出身の小説家・森バジルさん 松本清張賞受賞作「ノウイットオール」出版

6月21日、授賞式での森バジルさん。「受賞で得た賞金は妻とのご飯や、できるだけ多くの方に本書を届けたいので広告費に使うことも考えている」とも(画像提供=文藝春秋)

6月21日、授賞式での森バジルさん。「受賞で得た賞金は妻とのご飯や、できるだけ多くの方に本書を届けたいので広告費に使うことも考えている」とも(画像提供=文藝春秋)

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 宮崎市出身の森バジルさんが7月5日、単行本「ノウイットオール あなただけが知っている」(文藝春秋)を出版した。

「第30回松本清張賞」を受賞した「ノウイットオール」

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 「松本清張賞」は日本文学振興会が主催、文藝春秋が運営している文学賞の一つで、受賞作は単行本として刊行される。森さんの同作は、応募総数677件の中から受賞。自身初となる単行本となる。同作では1つの街を舞台に推理小説、青春小説、科学小説、幻想小説、恋愛小説という5つの物語が描かれている。

 現在、福岡市在住で会社員として働きながら休日などに小説を書いている森さん。昨年の正月に帰省した際、「宮崎キネマ館」(宮崎市橘通り 3)で観たイギリスの映画「ラストナイト・イン・ソーホー」がきっかけで本書の構成を思い付いたのだという。森さんは「最後、主人公の家が火事で燃えるシーンの中で淡々と消火活動をしている消防士がいる。主人公の視点ではドラマチックな展開でも、消防士からしたら日常業務をこなすだけの脇役でしかない。それに気づいた時、誰かにとっては主役で誰かにとっては脇役になるような小説が書けたら面白いと思った」と話す。

 文藝春秋の秋月透馬さんは「5つのそれぞれ違う物語が1つの街を舞台に影響を与えあうという今までに類を見ない構成。選考委員の阿部智里さんも『選考委員への挑戦状なのでは』と驚いていた。登場人物のセリフが生き生きとしていて、リアルな人生観を感じられるのも、選ばれた決め手の一つ。発売前に読んだ編集者や書店員の方々からは、早くも森さんの次回作が読みたいという声も挙がっている」と話す。

 昨年も最終選考まで残るも惜しくも受賞を逃した森さん。今回の受賞について「昨年、選考委員の方々からいただいた選評を踏まえて1年間頑張ってきたのでうれしい気持ちと少しほっとした気持ちもある。自分の中でも納得できる自信作なので、ぜひ多くの方に読んでもらいたい」と話す。「これからも読者を驚かせるような小説を書いていきたい。人生の目標はとにかく小説を書き続けること」とも。

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