宮崎海洋高校(宮崎市日ノ出町1)海洋科の2年生と水産加工食品の製造などを手がける器(昭栄町)は11月14日、県産の食材で商品開発した備蓄缶詰を能登高校(石川県能登町)へ贈呈した。
大規模な災害の備えを目的に、2016(平成28)年から同校3年の希望者と同社が、「宮崎の産物を使う」というルールの下、開発に取り組んできた。これまでにシイラを使った「宮崎マヒマヒフレーク」や、ブリを使った「宮崎海洋切干ぶり大根」、カツオを使った「宮崎海洋カツオのドライカレー」など異なる産物で毎年新しい商品を開発。
完成した缶詰は、賛同企業が購入し備蓄缶として保管。他地域で大規模な災害が起こった場合、同社がその備蓄缶を賛同企業より回収し、購入した企業からの支援物資として被災地に送るプロジェクトとして進めてきた。2018(平成30)年の西日本豪雨災害では、宇和島水産高校と宮崎海洋高校との連携で被災地である愛媛県宇和島市に約2500個の缶詰を海路で届けるなどして復興をサポートしてきた。
本年度は「能登半島地震の被災者に喜んでもらえるように」と、サザエの身のだしを、県産のヒノヒカリ玄米に炊き込んだ輪島市の郷土料理「さざえめし」を開発。今回は賛同企業だけでなく、「宮崎オープンシティ推進協議」と同社が進めてきたクラウドファンディングでも支援者を募った。クラウドファンディングでは、支援者に購入してもらった備蓄缶の半分は支援物資として被災地に送り、残りの半分は支援者の備蓄として手元に置いてもらう方式を採用。86社の賛同企業とクラウドファンディングで47万5,000円の支援が集まり、2646缶の備蓄用缶詰を贈呈した。
同社の西立野玲社長は「自分たちの備えとしての『自助』と困っている人を助ける『共助』を、今回のプロジェクトで進めることができた」と話す。「高校生は試行錯誤しながら商品開発に取り組んでくれた。支援をしてくれる企業や個人、支援物資を輸送してくれる人など多くの人がこのプロジェクトを助けてくれた」とも。
来年で10年目の節目を迎える同プロジェクト。西立野社長は「災害が起きた時に、被災地をサポートできる強固なプロジェクトにしていきたい」と意気込む。
贈呈した備蓄用缶詰は今後、能登高校から地元の被災者へ届けられる予定。