宮崎市に本社を構える着ぐるみ・造形美術製作会社「KIGURUMI.BIZ(キグルミビズ)」(宮崎市高千穂通1、TEL 0985-34-9983)の加納ひろみ社長が3月25日、「幸せな着ぐるみ工場 あたたかいキャラクターを生み続ける女子力の現場」(日本経済新聞出版社)を出版した。
笑顔で働く加納さんと「ビズベア」、同社スタッフのみなさん(撮影:ワタナベカズヒコ)
1990(平成2)年創業で、社員は全員女性が特徴の同社。これまで「くまモン」や県のゆるキャラ「みやざき犬」などの着ぐるみ製作を手掛け、現在も国内外から製作を受けている。
今回加納さんが出版した書籍では、自身と同社の歩みのほか、着ぐるみや同社で働く社員への思いをつづっている。
加納さんは「以前から本は出したかったが、内容を考える中で悩みも多かった。『閉じられた空間』の中での着ぐるみ製作は、オープンにできない情報も多い。製作過程を見たいという人もいる一方で、製作過程を見てしまうと夢が壊れるという人もいる。しかし、そこで働くスタッフはそれぞれが人生の主人公で、彼女たちをちゃんと見てもらいたいという気持ちが一番にあった」と話す。
同社は2018年3月、経済産業大臣表彰「新・ダイバーシティ経営企業100選」を受けた。2018年12月には、女性が所有するビジネスを世界中のバイヤーとつなぐグローバルネットワーク「WEConnect International」の日本認定企業第1号にも選ばれた。「着ぐるみを作っているスタッフの人生が着ぐるみに表れていると思う。いろいろな人の思いや手が加わっているからこそ、日本ではキャラクターが命あるものとして扱われているのでは」と加納さん。
同社は年間200体以上の着ぐるみを製作しており、加納さん自身にも着ぐるみに対する思いには並々ならぬものがあるという。「『着ぐるみ』という言葉は、そのキャラクターを愛するファンにとってはとてもデリケートな言葉」と話す加納さんは、SNSに寄せられた「着ぐるみとは何か?」などといった着ぐるみにまつわる疑問に一つ一つ返信するといった活動も続けている。
加納さんは「本書がキャラクターについて紹介するページでは、単なるキャラクター紹介ではなく、私自身とキャラクターの物語をつづった。着ぐるみ工場だからといって、その夢を壊す場所ではないということを伝えたい」と力を込める。
5月12日は14時から、「蔦屋書店宮崎高千穂通り」(宮崎市橘通東4)で出版記念トークイベントを開く。
価格は1,512円。kindle版(1,400円)も販売している。