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【backstage of ひなたフェス/第五話】「ひなたフェス」を耳で届けた、宮崎サンシャインFMの挑戦

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2019年、けやき坂46から日向坂46へと改名したアイドルグループと、「日本のひなた宮崎県」。「ひなた」のフレーズでつながる両者の関係は、テレビ番組「日向坂で会いましょう」のロケをきっかけにスタートした。そして2024年、日向坂46初の野外フェス「ひなたフェス2024」がひなた宮崎県総合運動公園で開催され、大成功に。フェスの1か月前に発生した日向灘の地震や令和6年台風第10号などの被害もあり、県内経済が落ち込んでいた中で地域経済の再生を図っていく大きな後押しとなった。

開催から半年が経ち、フェスがもたらした経済効果や地域社会への影響が明らかになってきた今、成功を支えた知られざる舞台裏に迫ることに。連載「backstage of ひなたフェス」では、陰で尽力した関係者へのインタビューを通じて、各取り組みのカギを探っていく。今回は、宮崎サンシャインFMの局長である赤塚準さんに話を聞いた。

 

<backstage of ひなたフェス>わたしが考える「成功のタネ」

宮崎サンシャインFM 局長 赤塚準さん「繋がり」

 

■「ひなたフェスを360度楽しめるように」との思いが始まり

「全てのおひさまに楽しんでもらいたい」そんな想いから、宮崎サンシャインFMの新たな挑戦が始まった。2024年8月、「ひなたフェスを360度楽しめるように試みている。宮崎の空気や熱をメディアで届けられないか?」と相談を受けたのが、始まりだった。赤塚さんは当時のことをこう振り返る。

「限られた時間ではありましたが、自分たちにできることがあるならぜひ協力したいと思いました。ラジオという媒体を使えば、宮崎に来てくださるおひさまはもちろん、フェスに参加できない全国のおひさまの方々にも、まるで会場にいるかのような臨場感を味わってもらうことができる。全てのおひさまに楽しんでもらうことができると思ったんです」

 

■ひなたフェスに向けて3本の特別番組を企画

今回ラジオが担った役割は、単なる情報伝達にとどまらなかった。赤塚さんたちは、ひなたフェスに向けて3本の特別番組を企画・制作。それぞれの放送には、明確な目的と丁寧な工夫が詰め込まれていた。

まず、フェスの1週間前である8月31日に放送されたのが「おひさま勉強会コラボ」。市民にも日向坂46を知ってもらおうと、おひさまの有志が主催する「おひさま勉強会」と連携し、グループの魅力や楽曲の世界観を伝える2時間の生放送を実施した。

事前に、おひさま勉強会の方々と打ち合わせをさせていただき、皆さんの熱量の高さを感じました。また、おひさまの方々の日向坂46への愛や情熱も知ることができ、ラジオではそのままの温度感で宮崎の人に届けたいと思いました」

フェス当日には、9月7日・8日の午後に「ひなたの放送部」を放送。現地からの中継ではグルメ情報や賑わい具合を伝えるなど、地元の学生たちとも連携しながら全国のおひさまへと会場の熱を届けた。

そして夜には「ひなたの放送部 お帰りナビ」と題し、20時から1時間の生放送をオンエア。フェスからの帰り道にラジオを聴くおひさまに向けて、感想を共有したり、帰り道の混雑情報を伝えたりする場となった。

「正直宮崎はこれだけのキャパを受け入れられるほどの体制が整っていない。特に、フェス終了後の交通渋滞は大きな懸念点でした。その交通渋滞の問題を、ラジオでの情報発信を通して少しでも解消したいと考えました。また移動の待ち時間にフェスの余韻に浸ってもらいたいと考え、お帰りナビを企画しました」

 

■繋がる仕掛けと、全国に広がる反響

番組には、リスナーとの繋がりを強く意識した仕掛けも用意されていた。特に話題を集めたのが、「全国おひさまビンゴ」企画だ。

番組中に「どこから聴いてくれているのか」を問いかけると、最終的に39都道府県のリスナーからのメールが集まった。スタジオではその都度当てはまる都道府県にシールを貼っていき、放送と連動した目に見えるつながりが生まれていった。さらに番組には日向坂46のメンバーも出演し、SNS上ではハッシュタグを活用してファン同士の感想が飛び交った。

「自分達が盛り上げようと思っていましたが、逆におひさまの皆さんに番組を盛り上げていただいたと感じます。とても大きなフェスだったので中継が乱れるシーンなどもあったのですが、おひさまの皆さんがとても温かく聴いてくれた。正直、放送しているというより、みんなと一緒に“番組を作っていた”という感覚でした」

(番組パーソナリティーの中山真紀さんと、宮崎住みます芸人の嫁恐竜・佐藤さん)

 

■現在も続く、ラジオで生まれた繋がり

全国のおひさまに声を届けながら、宮崎の魅力を発信できたことも、大きな収穫だった。「宮崎に行ってみたくなった」「来年は現地に行きたい」という声が多く寄せられたという。

宮崎サンシャインFMは、日頃から地域に密着した番組を数多く制作している。イベントだけでなく、学校、商店街、災害時の情報発信まで、日常の声を丁寧にすくい上げてきた。

「近年、ラジオを聴く人は減っています。だからこそ、面白いコンテンツを作ることが大切ですし、そういうきっかけをもらえたと思っています。情報を届けるだけではなく、繋がることができるのがラジオの魅力。僕たちが繋いだ、というよりも、このひなたフェスのおかげでラジオリスナーを繋いでもらった感覚です」

放送終了後の現在も宮崎サンシャインFMとおひさまの交流は続いており、おひさまからのメールをきっかけに、日向坂46の話題を度々番組で取り上げている。赤塚さんは、「フェスで生まれた繋がりを一過性のものにせず、次の何かに繋げていきたい」と語る。

「おひさまのみなさんをはじめ、いろんな方との繋がりを感じたひなたフェスでした。これからもみなさんと繋がっていくメディアを目指します」

赤塚さんが見つめるのは、ひなたフェスの先に広がる、宮崎の未来と、ラジオの新しい可能性だ。

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