営農データを活用して農業経営を見える化・最適化するアグリテック企業 テラスマイル株式会社(本社:宮崎県宮崎市、代表取締役:生駒祐一)は、2025年8月にシリーズBラウンドにて総額1億円の資金調達を実施したことをお知らせいたします。本ラウンドには、三菱UFJキャピタル株式会社をはじめ、株式会社なんぎんキャピタルなどの投資機関が参加しました。
今回調達した資金は、テラスマイルが支援するスマート農業による生産データを流通領域まで展開し、新たな農産物の流通インフラ「ジャスタウェイ」の開発と普及に向けて活用します。
■調達の背景と目的
2014年の創業時よりテラスマイルは、勘と経験に頼らざるを得なかった従来の農法に対し、各種データを可視化・分析することで、気候変動下でも安定した収量と品質を確保できる最適な栽培計画の立案を支援する「RightARM」の開発と導入支援を行ってきました。これにより、気候や土壌・環境の異なる全国各地での多品種多品目の生産管理の支援を実現してきました。
私たちは、前回の資金調達ラウンドで食品宅配のオイシックスやセブン-イレブンなどを運営する企業が参加するCVCファンド(コーポレートベンチャーキャピタルファンド)『Future Food Fund』から出資を受けました。出資企業と共に「データベース・ファーミング」という、生産から消費までの全データを活用して、フードロスの削減や効率化を目指す取り組みを進めています。
今回、本資金調達を機に「儲かる農業経営」に向け流通にまで領域を広げ、流通インフラとしての仕組み「ジャスタウェイ」の構築を目指します。これにより、農業者は生産計画を立てる際、単価・売り先・数量を事前に計画することが可能になります。また、需要者(小売業者や食品工場など、以下同様)は商品を安定的に購入することや、農家へ必要な商品や価格をリクエストできます。本仕組みを通して双方を繋ぐことで情報の非対称性を解消し、適正な流通を実現することができます。
■新しい流通インフラ「ジャスタウェイ」について
テラスマイルは、営農データを活用した経営管理クラウド「RightARM」で、農業者が勘や経験に頼らず経営判断できる仕組みを全国で提供してきました。多様な作物・地域で培った知見を強みとし、生産から流通までを一貫して支える新たな基盤として「ジャスタウェイ」を開発しています。
「ジャスタウェイ」は、収穫量予測や品質担保、栽培データの共有、マッチング機能などにより、農業者と需要者が“見える情報”のもと、安定した直接取引を実現します。
今回のシリーズB調達を機に、「ジャスタウェイ」の本格実装と普及に取り組むことによって、農業者の生産計画や需要者の調達の不安を同時に解消し、米をはじめとした農産物流通の持続的な安定化を目指します。
第一期は流通に課題のある"米”にフォーカス
今後は幅広い農作物への展開を視野に入れていますが、今期はまず「米」の流通にフォーカスします。
[参照]テラスマイルの米生産・流通に関する取り組み/PR TIMES STORY
北海道のお米をデータ活用でより効率的に、環境にやさしく、おいしく作るために。SAcとテラスマイルが行うWell-beingな取り組み
■資金調達概要
・調達金額:1億円超
・ラウンド:シリーズB
・調達方法:第三者割当増資
・引受先 (五十音順):
鹿児島堀口製茶有限会社
なんぎん地域未来応援ファンド投資事業有限責任組合(株式会社なんぎんキャピタル)
Future Food Fund 1 号投資事業有限責任組合(Future Food Fund株式会社)
三菱UFJキャピタル10号投資事業有限責任組合(三菱UFJキャピタル株式会社)
他
・主な資金使途:ジャスタウェイの開発
■引受先企業、投資家の皆様からのコメント
三菱UFJキャピタル株式会社 大阪支社 大阪投資部 次長
渡部直樹様昨今のコメ価格高騰に見られるように、国内のインフレの影響は日に日に大きくなっていることを実感いたします。コメ価格の不安定化と生産コスト上昇を受け、2024年のコメ農家の倒産・休廃業は過去最多を記録しました。そのような中、農業者は「如何に利益を出すか」、小売企業や食品工場は「如何に安定して調達するか」に苦心しています。これには双方の情報の非対称性解消が必須であり、テラスマイル社が普及を目指している新しい流通インフラ「ジャスタウェイ」が、この業界課題解決に大きく寄与すると考えております。
また「ジャスタウェイ」の構築は、テラスマイル社の創業以来の知見が集約された
「RightARM」があればこそであり、この課題解決の担い手はテラスマイル社をおいて他にいないと確信し、この度出資をさせて頂きました。今後はMUFGグループの力を活用しながら、テラスマイル社の事業成長に資するご支援を行って参ります。
■テラスマイル株式会社 代表取締役 生駒祐一 コメント
今回の資金調達により、テラスマイルは営農支援を超えて、流通を含めた食のインフラづくりへと歩みを進めます。これまで提供してきた「Right ARM」を用いたデータベースファーミングをベースとして、新たに開発する「ジャスタウェイ」は、生産と流通の間に存在する情報の非対称性を解消し、農業者・需要者の双方が安心して取引できる仕組みを提供するものです。
特に日本の主食である「米」は、気候変動による収穫量の不安定化や、消費減少・流通構造のひずみに直面しており、今まさに新しい仕組みが求められています。「ジャスタウェイ」を通じて、農業者には“未来を見通せる経営の選択肢”を、実需者には“確信を持った安定供給”を届け、米を起点とした新しい食の市場を切り拓いていきます。
テラスマイルは創業以来、農業者に寄り添い続けてきた経験と蓄積した知見をもとに、農業の「現場」から始まる新しい流通のかたちを実現してまいります。今回の調達を糧に、投資家・社会の皆さまの期待に応えるべく、持続可能な農の未来を築いていく所存です。
【テラスマイル株式会社】
宮崎県に本社を構え、さまざまなデータ活用を通じた「儲かる農業」の実現を支援しています。経営管理クラウドサービス「RightARM(ライトアーム)」により、農業を取り巻くあらゆるデータをクラウド上で一元化して分析し、収穫量の増加や市場評価の高い出荷時期といった経営判断に役立つ情報のアウトプットを行っています。
公式ウェブサイト:https://terracemile.jp/
RightARMについて:https://terracemile.jp/right-arm/
- 社名:テラスマイル株式会社
- 本社所在地:宮崎県宮崎市
- 代表取締役:生駒 祐一
- 事業内容:RightARMを活用した都道府県・JAのデジタル化/蓄積したデータを活用したいと考える農業経営者が、グッとくるデータ駆動型システムの構築・導入/データ活用・データ駆動型農業にむけた研修・講座の実施
- 設立:2014年4月
- 社員数:14人 (東京・浜松に拠点)
- HP:https://terracemile.jp/