
「バーとんぼ」(宮崎市橘通西3)がオープンして、7月23日で2カ月がたった。
店長は全く耳が聞こえない園田孝生さん。建築関係の仕事をしていたほか、県内在住の聴覚障害者が制作した映画「おわりなき聲(こえ)」の主演や、NHKのドキュメンタリー番組への出演などの経験も持つ。
元々、系列のスナック「蝶果」(千草町)の常連客だった園田さん。店主の祝出侑果さんとは、同店を通して約半年前に出会った。障害を持つ子どもにダンスを教えるなど、福祉活動にも取り組む祝出さん。「スナックやバーを経営する中で、ろう者のお客さまが多くいること、彼らの中には健常者に対して『怖い』という意識を持っている人がいることを知った。健常者とろう者がつながりを持てる場を作れたらと考えた」と話す。
店内ではサワーや焼酎、ハイボール、ソフトドリンクなどさまざまなドリンクを用意。注文方法やコミュニケーションに関しては、手話・ホワイトボードでの筆談・店内のメニュー表の指さしなどで対応している。
店名について、祝出さんは「系列2店舗を含め、全て虫の名前に由来している。トンボは前にしか進めない。当店も後ろは振り返らず『ろう者と健常者がつながれる場』を実現できれば」と話す。
現在は、来店客の9割をろう者が占めているという。「最終的な目標は健常者とろう者の来店が半々になること。手話を覚えたい人や彼らに興味を持ってくれる人に来てほしい」と祝出さん。園田さんは「周りの人の支えが大きい。これまでバーで働いたことはなかったが、毎日楽しく、向いていると思う」と話す。
営業時間は21時~。料金は2時間3,500円(延長=1時間1,500円)。