世阿弥作の復曲能「鵜羽(うのは)」が5月4日、鵜戸神宮(日南市大字宮浦)の儀式殿前広場で上演される。
同神宮での能上演は初。同演目は鵜戸神宮の御祭神・ウガヤフキアエズノミコトの誕生をモチーフにしており、同神宮が舞台となっている。室町時代に足利義教が暗殺された際に上演されていたことから、徳川綱吉により長い間、上演を禁止されてきたという。1991(平成3)年、人間国宝でシテ方観世流能楽師の大槻文蔵さんが中心となり復曲させるまで約300年上演されなかったため、「幻の演目」と言われてきた。
当日は4つの演目を用意。文蔵さんが「神歌」と仕舞「景清」に挑み、文蔵さんの芸養子である大槻裕一さんが復曲能「鵜羽」を舞う。狂言方和泉流の野村萬斎さんも登場し、狂言「樋の酒」を披露する。
黒岩昭彦宮司は「この演目を通じて地元住民はもちろん、能が好きな人など多くの人たちに鵜戸神宮に興味関心を寄せていただき、未来へとつなぐ大切な文化を共に守る仲間が増えればうれしい」と話す。「上演前には元産経新聞編集長の安本寿久さんが解説も行うので、初心者の人でも安心して楽しんでいただけるはず。海が間近にある会場で、波の音を聞きながら能を鑑賞できる機会もなかなかないと思う」とも。
17時30分開演。クラウドファンディングの返礼品としてチケットの申し込みを受け付けている。4月19日締め切り。ネットでの支援が難しい場合は同神宮で対応する。