宮崎大学農学部の深見裕伸教授らの研究グループが2月3日、日南市南郷町の大島周辺で新種のサンゴ「コノハナウミアザミ」を発見した。
東京水産大学(現・東京海洋大学)の大学院時代からサンゴの研究を行っている深見さん。「小さい頃から魚が好きだったが、魚はそう簡単には捕まえられない。あまり動かない生き物で捕まえられそうなサンゴや貝などに興味を持ち始め、22歳から研究を続けている」と話す。
今回新たに発見したサンゴは、ソフトコーラルと呼ばれる軟らかいサンゴのウミアザミ属に分類される。研究グループは、宮崎の神話に登場するコノハナサクヤヒメにちなみ「コノハナウミアザミ」と名付けた。深見さんは「ほかのウミアザミ属のサンゴとの大きな違いは骨格にある。ウミアザミ属は通常、楕円(だえん)形の骨片しか持たないが、『コノハナウミアザミ』はほかに縦長の細い骨片も持っていることが特徴。見た目は、白から青の色合いで美しい」と話す。
ソフトコーラルの群体は、日南市の大島周辺だけでなく延岡市の島浦島周辺でも確認されている。しかし、世間でなじみがあるのはハードコーラルと呼ばれる硬い骨格の石サンゴ類という。海におけるソフトコーラルの役割について深見さんは「サンゴ礁生態系の中でパイオニア的な存在。特にウミアザミ属は成長スピードが早く、サンゴが住みやすい土台を作ってくれる。光合成によってエネルギーを得ているので放出された栄養分に魚も集まる」と説明する。
深見さんは現在、奄美大島の喜界島に生息するサンゴの図鑑を制作中。深見さんは「仕事のやりがいは自分の研究成果を後世に残せること。研究には時間がかかるが、今回のようなサンゴの発見や論文に載ることはうれしい。趣味を仕事にしているのが研究者。今後も研究を続けて行きたい」と話す。