
子どもの「今日の一食」を地域で支える「フードリボンプロジェクト」が7月1日、日南市で始動した。
同プロジェクトは、子どもの貧困対策や居場所づくりを目的に、ロングスプーン協会が全国2万カ所の設置を目指して推進しているもの。来店客が300円で「フードリボン」を購入し、店内の掲示板に先払いの形でリボンをストック。後日その店を訪れた子どもがリボンを使って無料で食事を受けられる仕組み。リボンにはメッセージを書き添えることもでき、子どもたちからの返事が貼られることもある。活動の背景には「子どもたちが安心して食事できる場所を増やしたい」という思いがあるという。
今回、その趣旨に賛同した日南市内の飲食店が協力し、地域全体での支援が始まった。同プロジェクトは過去に一度、県内で導入された実績があるが現在は実施されておらず、今回、県内唯一の取り組みとなる。自治体との連携による実施は九州初のケースとなる。
プロジェクト参加店の一つである「油津珈琲+(アブラツコーヒープラス)」(日南市岩崎3)店長の小室優花さんは「おなかを満たすだけでなく、大人に見守られているという安心感も子どもたちに届けたい。飲食店を起点に地域で子どもたちを支える仕組みとして広がれば」と期待する。
日南市こども課の課長である横山史朗さんは「協会と店舗をつなぐ役割を担ったり、教育委員会を通じて学校にチラシを配布したりするなど、市としての橋渡し的なサポートを行っている。多くの人にこの取り組みを知ってもらい、協力してくれる店がもっと増えていけば。目印として店舗に掲げられるのぼりも作成できたらと考えている」と話す。
対象年齢や利用可能時間、食事の内容などは店ごとに異なり、提供するのは「賄いのような温かい食事」。子どもと一緒に来店した保護者が食事をする場合には、通常メニューの料金を別途支払う必要がある。今後は日南市内の他店への拡大や宮崎市など県内各地への広がりも検討している。
プロジェクトの詳細や参加店の一覧は、「フードリボンプロジェクト」の公式サイトやSNSなどで確認できる。